3.5 中国式ルールの短所

然るに中国式ルールに一つの注目すべき短所がある。短所といってもそれは論理的に不合理であるというものではなく、ゲームとしてみた場合に興味をそがれる点が存在するという意味である。
第3-7図の如く既に打着点はダメしか存在せず、それも偶数個存在してしかも下辺の黒がダメがつまった時、黒は味が悪い様な場合が問題になる。この場合黒の手番としよう。しからば黒はa点に味を解消したとしても、ダメを一着打てるから、読切ることをせずに手入れをしても中国式ルールでは損にならないことになる。

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第3-7図

これは不合理ではないにしても、ゲームとして見たとき、興味をそがれる云うことができるだろう。ここに中国式ルールの短所があるのである。この問題を以後“偶数ダメの際の手入れ問題”いうことにしよう。
日本式の場合は如何なるときでも、無用な手入れは1目の損になるから、第3-7図の場合も、aへの手入れを不要であると読切れば勿論手入れをしないし、読切れなくとも、味が悪いと判断して損を覚悟して手入れをすることもあり得るのであるがいずれにしてもその手入れは対局者の読む努力が要求されるのである。
中国式のルールは簡明で打着により総て解決されるので、論理的に問題となるところがない。従ってこの“偶数ダメの手入れ問題”を解決し得たならば、それは中国式ルールを一歩前進せしめたルールとして価値のあるものになる筈である。

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