囲碁ルール試案

囲碁共通定義及びルール

定義1

n路の碁盤
n本の等間隔の平行線と、それに直交するn本の平行線にてなる格子図形をn路の碁盤という。

格子線
盤上の直交する平行線を格子線という。

格子点
格子線の交点を格子点という。

空格子点
石の置かれていない格子点を空格子点という。

置石格子点
石の置かれた格子点を置石格子点という。

置石
格子点上に置かれた石を置石という。

隣接点
ある格子点の、それを通る格子線上のそれに最も近い格子点を、その格子点の隣接点という。

定義2

打着
石を空格子点上に置くことを打着という。

除去
格子点上の置石を取除くことを除去という。

着手
打着又はパスすることを着手という。

パス
打着することなく、順を次に渡すことをパスという。

定義3

除去される状態
同色の置石の集合が、その置石格子点の総ての隣接点のうち、その置石格子点を除く隣接点の総てが、他の色の置石で占められているとき、前者の置石の集合は除去される状態にあるという。

定義4

盤面上に置かれた総ての置石の状態をという。

定義5

空格子点の集合でそのうちのどの格子点から格子線上を次々と移動するも、必ず同色の置石に達するとき、その空格子点の集合をその色のといい、
囲石
その置石を囲石という。

ルール1 黒石白石 2組の競技者の一方は黒石を、他の一方は白石を所有する。競技者は自己の所有の石を打着する。
ルール2 交互着手ルール 競技者は交互に着手する。着手せざるときは敗とする。
ルール3 除去のルール ある石が打着されて、他の色の石の集合が除去される状態となったときは、次の着手の前に其等の置石の集合は除去される。
ルール4 同形再現打着禁止ルール ある格子点への打着は、もしそれによって他の色の石を除去する状態にすることが出来た場合は、それを除去した形が、その対局中に既に現われた形と同じ形になってはならない。
ルール5 自殺打着禁止ルール ある格子点への打着は、それによって他の色の石を除去し得る状態にすることができず、しかも自己の石が除去される状態となってはならない。
ルール8 条件設定ルール 先着の条件(手割)、勝敗の規定(コミ)は別途にこれを設定するものとする。

中国式I

ルール6 終局ルール 双方のパスが連続したとき終局とする。
ルール7 得点ルール 双方の置石の数を夫々の得点とし、その得点を比較して勝敗をきめる。

中国式II

ルール6 終局ルール 双方のパスが連続したとき終局とする。
ルール7 得点ルール 夫々の置石数地の格子点数の合計を得点として、夫々の得点を比較して勝敗をきめる。

中国式III(台湾式)

ルール6 終局ルール 最初のパスを除き、双方のパスが連続したとき終局とする。
ルール7 得点ルール 夫々の置石数地の格子点数の合計を得点とする。但し最初のパスを白が行ったときは、黒の得点から1/2を減じ、白の得点には1/2を加えたものを得点とする。この得点を比較して勝敗をきめる。

日本式I

ルール6

6.1 仮終局 双方のパスが連続したとき仮終局とする。仮終局後も着手を継続する。
6.2 ペナルティ 仮終局後のパスは、その都度ペナルティとして自己の石を一つ相手に渡す。
6.3 終局 仮終局後に双方のパスが連続したとき終局とする。
6.4 同数着手ルール 終局の最後のパスが、仮終局後の先着者が行ったときは、そのパスのみペナルティは不要とする。
ルール7 得点ルール 夫々の地の格子点数より除去された石及びペナルティとして渡した石を減じた数を得点とし、夫々を得点を比較して勝敗をきめる。

日本式 II

ルール6 日本式Iのルール6と同じ。
ルール7 得点ルール 夫々の囲石が活石のみの地の格子点数より除去された石、ペナルティとして渡した石及び仮終局後に打着した非活石数を減じたものを得点とし、夫々の得点を比較して勝敗をきめる。
但し、活石とは、連続打着によるも除去し得ない状態の置石をいい、活石でない置石を非活石という。

出典:池田敏雄, 囲碁ルールについて,
(2) 囲碁新潮, Vol. 21 No. 2, 囲碁新潮, 1969, pp. 146
(7) 囲碁新潮, Vol. 21 No. 5, 囲碁新潮, 1969, pp. 164
(8) 囲碁新潮, Vol. 21 No. 6, 囲碁新潮, 1969, pp. 58

目次