2.3.2 半劫つぎ |
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歴史的には、呉、岩本十番碁の第1局(第2-4図)に出現した(昭和23年7月)。この場合、黒は劫材が多いから1又は2に手入れする必要があるかどうかの問題である。この時は、「白1目ないし2目勝ち」という空前の判定となったが、その当時の日本棋院の仮規定に「いずれか劫材の多い場合は、最後の劫は手入れせずに終局する」というのがあることが確認されたので、この碁は結局白1目勝ちと訂正されたのである。然しその後日本棋院で昭和24年に現行の囲碁規約を制定したが、それによれば 「劫の形が一手劫となっていて直ちに手段が生ずる場合は手入れを要するものとす」 ときめられたので、もしこれに従えば、呉、岩本局は白2目勝ちとなる。 |
第2-4図 |
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簡単な第2-5図で半劫つぎの問題を考えておこう。この図は勿論黒からの劫材が多い、ダメもない。従って白の手番とすれば、白はパスをするか、自分の地の中に着手するかである。 |
第2-5図 |
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勿論白が自己の地の中に打着すれば、白は1目損をしたことになり、黒は1についでも損はない。 パスを許した場合どうなるか。 この場合は二つに分れる。パスを劫材とみなす場合と、みなさない場合である。 これに関する日本棋院の現行の規定は不充分ではあるが、思想としては「パスは劫材と考えない」との立場に近い。私もパスを劫材と認めると同形が再現する故に、「パスは劫材と認めない」立場に立ちたい。 従ってもし白が第2-5図においてパスをしたとき、黒もパスを行えば、白は1に打着できない。従ってそれで終局となり、1の点は黒の地となる。 |