2.3.3 手入れ問題(2)

然し現行の日本棋院の規定によれば、第2-8図の左上は一手入れればよく、左下は手入れ不要ということになっている。これも判例による説明という手段、或は一手劫等の表現は曖昧ではないにしても誤解し易いし、不自然であるというべきであろう。

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第2-8図

第2-9図の場合、白は劫材有利をもって、2、3、4の点に手入れが必要であろうか。パスを劫材と認めないものとすれば不要との結論になり、白1目勝となる。結果をたしかめられたい。

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第2-9-1図 第2-9-2図

これはなんとなく納得がいかないと主張される方も多いだろう。このために最後のパスのみ劫材と認めるとの案も考えらたことがある。或はパス・パスとなった後の同形反覆(劫とり)は許されると規定する方法もある。このためにパス3回連続にて終局との案も考えられた。これ等は終局直前の異常現象(これは島田氏の表現)を解決するためであるけれども“生死”を規定しない立場に立つときは必ずしも異常と云うべきではないだろう。第2-10図の左下の白は黒から取る方法がない。すなわち白1、黒2、白3劫とりの後、黒はパス以外なく、白もパスした後、もしパスは劫材とならないとの原則に例外を認めなければ、そのまま終局となり左下の白は除去されない(活となる)。

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第2-10-1図 第2-10-2図

パス・パスの後に例外を許すと、そのために又珍形が出現するのだが、これは劫(これの一般化)の規定のときに更に考察をすることにしよう。

目次 ルール試案
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