2.3.10 交互着手の規定と終局の規定

碁が交互着手の原則の上に成立するゲームであることは極めて常識的なことではあるが、先に述べた万年劫問題や半劫つぎ、手入れ問題、ハネゼキ等が生じた場合、交互着手が権利であるのか、義務であるのか、或は権利であり同時に義務とすべきか、極めて重要な問題となる。
又終局の規定がそれと関連して重要な問題となる。一方的な終局宣言などは勿論あり得ないし、もし着手の権利が義務であるとするならば、第2-25図の如き図において、これは常識的に勿論黒が勝ちとなるけれども、白があくまでも終局とすることを合意しなければどうなるかを考える必要がある。

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第2-25-1図
黒の手番
第2-25-2図
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第2-25-3図

着手放棄を許さなければ、第2-25-3図に到り、白は更に打着継続を要求すれば、黒は全滅となる。これは何としてもおかしいから、着手の権利を放棄することを可能にして置くべきであるのは当然であるが、放棄した時、ペナルティを出すか出さないかは規定しなければならない問題である。
日本のルールは終局の規定が極めて不明確である。勿論一般に問題となるような形が出現しない場合は常識的に終局がはっきりしているが、一たん問題が生ずると案外その解決は簡単ではない。終局は対局者の一方的な宣言や意志表示で行われるものではなく、自動的に終局する如き規定でなければならない。例えば両者の着手放棄が続けば終局とするという具合である。
これは中国ルールにおいても重要であるが、日本式のルールでは特に重視しなければならぬ問題なのである。

目次 ルール試案
前項