3.3 パス後の同形再現について(4)

次にパスが連続したとき、次の同形再現を許すとどうなるかを考えよう。
この場合が最も重要であり、現在までルールの研究家が、日本流の半劫ツギの問題のため、パス3回で終局にすれば解決すると考えてきた。
然しそれでも解決しない例を示そう。第3-6図は右下に隅の曲四目があるが、勿論無条件死でないものとする。(校訂者註 : 脱文アリ)故に右上の万年劫を黒がツイでから振変る場合と、黒がa点に劫を取ってツガないままで白から隅の4目を取りに行けば、白は1目敗けになる。

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第3-6図
黒95 (94の下)
白96 パス
黒97 (a)トリ
白98 パス
黒99 パス

従って黒95でaに万年劫を取っても、それをツグと持碁になるから黒はツガない。しかも白パス、黒パスの後に白が劫を取返すと黒パス、白パスの後に黒(94の2路下)の点への同形再現打着が許され、しかもそれを取返す同形再現は許されないから、白は変死する。従って白からは万年劫の部分の劫を取返すことが出来ない。
黒が従って劫をツガないと主張すれば、この半劫はそのままとなり、この半目を黒の地とみるかみないかが問題となる。
半劫ツギの問題を解決しようとして、パス2回後の同形再現打着を許す例外規定によって、パス3回で終局とするルールは、結局第3-6図の半劫ツギの問題を解決し得ないことに注目しなければならない。
中国流では、黒からの劫ツギが黒1目の増加になることから、黒が劫をツギ、簡単に解決する。
上記の例は万年劫と隅の曲四目と左上の図も特に珍しい形ではないだけに、第3-3-1図第3-3-3図の如く、総ての石が2眼しかない場合の如く実戦で出現することは殆ど絶無に近い問題とは異り、重要な例と考えられるのである。

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第3-3-1図 第3-3-3図

パス以後の同形再現打着禁止の例外規定には、これ以外にいろいろ考えられている。
例えばパス、パス以後の同形反覆は2回まで許すごときものである。しかしこれでは、変なところで反覆形が終わって変な解決になってしまう例はいくらでも作られる。それは例外規定によってわざわざ不自然な例を作るだけの結果となり、しかもどの様な特異現象が発生するかの予想もつかないことになる。
要するに囲碁の三大根幹ルールの一つである“同形再現打着禁止ルール”に例外規定を設けると、どんな異変を生ずるか容易に予想がつかないのである。従って過去の慣習法から、第3-3-1図第3-3-3図の如き結果が変に感ぜられるために、その解決のために本ルールの例外規定を設定しようとするのならば、
“その例外規定によっても、異変が生じないことを論理的に証明しなければならない”
単にその例外規定によって特異現象がみつかっていないということだけでは不充分であり、ルールに不安を残すだけであると云うべきであろう。
故に自分としては
(1) 交互着手のルール(着手とは打着またはパス)
(2) 除去のルール
(3) 同形再現打着禁止ルール
を囲碁の三大根幹ルールとして、いかなるルールにも共通なものとして、例外規定は一切許すべきでないという立場に立ちたい。
中国式には例外規定がなく日本式では例外規定を設けるごときは、将来国際的なルールの設定のためにも好ましいことではないのである。

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