4.4 台湾式ルールにおける合意の終局 |
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台湾式ルールの特質は“手止り”にある。この手止りの意義が、先着の効果が失われたときを意味するものであるから、手止り以後に大きく変化する特殊形(勿論この変化も先着の効果はない)が存在しない場合には、手止り以後の進展は双方が容易に判断できる場合が多い。このときは最初のパスを以て“合意の終局”とすることが可能である。 第4-3図において、黒47の次に白が最初のパスを行うことが可能である。これは残りのダメが偶数個であるので、白は後手でもあとの二つのダメへの打着が可能であるので、黒47を手止りとすべく白48をパスしても結果に何等影響がない。従ってこれを以て合意の終局とすることが可能となる。勿論作るときは双方が順次ダメをつめ、除去すべき石は打着によって除去するのであるけれども、白48パスを以て合意の終局が成立し得ることに注目すべきである。これはまさに日本の慣習法の終局と同じであることである。 |
第4-3図 |
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第4-4図の場合はダメが奇数であるため、白48を打着して黒49が最初のパスとなり、手止りが48となって合意の終局に達する。日本の慣習法では48の打着をせずに終局とするのと一手の差を生ずるが、台湾式でも第4-3図、第4-4図の如くダメへの打着をせずに“合意の終局”とすることが可能であることは重要な意味がある。 |
第4-4図 |
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それは日本の慣習法も“先着の効果が失われたとき”を慣習的に終局としているからである。ただ日本の慣習法と台湾式ルールの根本的相違は、台湾式は、手止り後も打着によって決着すべき場合は総て打着によって完全に決着すべきことがルール上明確化されている点にある。日本の慣習法はそれがなく、この合意の終局というべきものを終局と考え、その後の特殊形の処理を判例や不自然な規約にたよろうとしたところに大きな差があるのである。 |